ピアノ講師ぴちち先生の五感

「発表会の服は?曲は?」「ピアノって認知症予防になるって本当?」「指使いって大事なの?」等、普段よく質問される事柄についてピアノ講師歴約20年の経験から綴っていきます。日々のレッスンで感じた事等も交えて。

「あ」

今日4歳の女の子に宿題をだした。

ドレミファソと音符の名前を書こう、という宿題にしようと思って字は書けるかお母さんと本人に確認してみた。

お母さんは「ドレミファソ」は書けるという。

本人も書けるという。

私は「ファ」が難しいから書けなかったら「フ」だけでいいよ、と伝えた。

そうしたら本人が「あ」が書けるというので、「それはすごい!先生に書ける所みせてくれる?」と言った。すると快く承諾してくれたので拝見することにした。

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この時点で「ハッ!」となった彼女はあわてて文字を指でこすりだした。

私はそっと消しゴムを手渡す。

また書く。

また消す。

もう「あ」が思い出せないらしい。私はそっと「あ」の見本を書いて「やりたくなったら練習してみて」とノートを閉じた。

 

で、次にリズム練習。机をタンタンとリズム譜を見ながら叩くのだが、「うん(休符)」で手をグーにする所を「うん」といいながら机を一回叩いた。要は間違ったのである。でもただそれだけ。

もう一回やろうと促した所、傷ついた彼女に気がついた。もうすっごいわかりやすく落ち込んでる。首90度に曲げてうなだれてるし、そうかと思えば同じくらいの角度で後ろに反ってるし。本当はキキララのシールが欲しいのに欲しいと言えないくらい落ち込んでる。

実は彼女はまだうちに習いに来始めて4回目くらいなのだが、プライドが高い子なのだとわかった。「あ」の失敗をした時も覗き込んで来た母親に「みるな!あっちへいけ」と言わんばかりに追いやり、悔しそうに指で文字をこする様子を見る限り「失敗した自分、間違った自分を見られるのが恥ずかしい」というのがすごく強いのである。

こうなったら深追いせずすぐに切り替えて違う事をやるようにするが、なかなかご機嫌が治ることはなかった。

母親が「ちびまるこちゃんみたい」と言っていたが、まさに漫画のようにわかりやすい落ち込み方だった。

私は「リズムが間違ったから傷ついてご機嫌悪くなった」と思っていたが、後で思い返すと「あ」が上手に書けなかったことも最初にあったのを忘れていた。

失敗。

私は初心者には一回のレッスンで二回の失敗はさせないように気をつけているのだが、まだ情報不足で判断が甘かった。

 

ぇんえぃ あよぅならぁ・・」(訳:先生さようなら)

きちんとご挨拶だけはして帰って行った。


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