ピアノ講師ぴちち先生の五感

「発表会の服は?曲は?」「ピアノって認知症予防になるって本当?」「指使いって大事なの?」等、普段よく質問される事柄についてピアノ講師歴約20年の経験から綴っていきます。日々のレッスンで感じた事等も交えて。

「ピアノマニア」マニア

私の大好きなドキュメンタリー映画「ピアノマニア」をまた借りてしまいました。

これで3回目です。トータルで5回くらいは見ていると思います。

ピアノマニア [DVD]

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 この映画は調律師であるシュテファンに焦点があてられています。

名ピアニストピエール=ローラン・エマールによるバッハの「フーガの技法」の録音。

響き、伸び、丸み、等の要求は勿論、シュテファンはエマールの要求する「香り」まで汲み取ります。録音の場合は「作品」として残るので、この時のエマールの試みはライブではできない「1曲づつ音色を変える」ということにこだわります。

ピアニストの理想の音を作り上げて行く職人技は凄まじい。

シュテファンが触った時のピアノから出てくる音と、エマールが触れた時の音が全然違うことにいつもゾクゾクします。

ピアノってたった一音でもこうも違う音になるのかと毎回改めて思うのと同時に、あの巨大な木の塊の楽器が生き物のように感じます。

 

私がこの映画の何がそんなに好きなのかというと、敏腕シュテファンの職人技は勿論、「演技ではないキャラクターの面白さ」かな?録音の技術者、ホール係の人、ピアニスト、それぞれ持ち味が強烈で話し方やしぐさがまるでそこに台本があるかのように、間も絶妙で面白い。 

この映画で見るエマールと、youtubeの動画などで見るエマールの印象は全然違うように感じます。

シュテファンや、技術者達とやりとりしているエマールはすごくリラックスしているように見え、時にすごく可愛いと思ってしまうようなしぐさや表情をします。

すごい現場なのに、ピリピリしていなくて全員が音楽を楽しんでいる空気が漂う。楽しいと言うのは感動も含めて。

本気の現場の裏を見るのは楽しい。

エマールの音も美しい。

 

しかし本当にピアノってものは厄介ですね。

自分で使う楽器なのに、自分で作りたい音を自分だけでは作れない。しかも調律の技術者ではないから「ハンマーをこうして」「「弦の張りはこうして」とか具体的な指示ができるわけでもない。

抽象的な表現で、しかも難易度の高い要求を調律師は理解し、具現化するのですよね。ピアニストはわがままな人や変わった性格の人が多いだろうし、そういった人達ともうまくやっていかなければならないので人間力も高くないと難しそうです。

 

 
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